記事一覧に戻る TOPに戻る 


カジノ誘致は「悪魔に魂」か

2003/01/01

 石原慎太郎・東京都知事が99年に「お台場カジノ構想」を提唱して以来、全国各地でカジノ誘致の動きが広がっている。

 今年2月、信濃毎日新聞紙上で室伏哲郎・日本カジノ学会理事長が発言したところによると、以前までのカジノに対する厳しい反応が、石原都知事の登場で、カジノ誘致に向けて風向きが変わってきたという。

 川口市雄・静岡県熱海市長は12月13日、「構造改革特区」の2次募集にカジノ構想を申請する方針を明らかにした。特区は刑法や風俗営業法の適用除外など特例措置を含むもので、申請でこれら関連法の改正を提案する。

 1次募集の際には、石川県加賀市など全国5自治体がカジノ特区構想を提案したが、受け入れられなかった。

 大阪府、宮崎県、秋田県、沖縄県などもカジノ誘致に向けて動いている。地域活性化を図るために、カジノを含めた新しい観光スポットにすることが狙いだが、公営ギャンブルである地方競馬や競輪など多くが財政的に苦しんでいるなか、「同じ轍を踏むつもりなのか」という意見も上がっている。

 カジノ誘致を目指す自治体間でも意見の衝突があり、「東京のようにいろいろなモノがある地域でカジノを誘致してさらに人口を増やすつもりなのか」などの声もある。

 田中康夫・長野県知事は12月11日に、県会一般質問でカジノについて「ささやかなたしなみという形」でのカジノ設置構想を明らかにして、東京都が進めている臨海副都心での大規模なカジノ構想との違いを強調した。

 カジノ設置自体に対して疑問視する向きもある。井戸敏三・兵庫県知事は「いくら地域振興が厳しいからといって魂を悪魔には売り渡したくない、歯を食いしばってでも頑張ることが今こそ必要だ」と「ひょうごさわやか通信」第23号で述べ、カジノに対して絶対反対を唱えている。

 なお、場外車券売り場の進出計画がある宮城県高清水町では、9月の町議会で「ギャンブルによる町づくりはしない町宣言」を可決している。(田中潤)