北海道留辺蘂町のミニ公募債「愛町債」(全国初の金利ゼロ債)は、総務省が難色を示していて発行が厳しい情勢となっているが、ミニ公募債の発行は全国各地の自治体でブームになっている。
総務省が12月24日に発表した「2003年度の地方債発行計画」によると、2002年度のミニ公募債(住民参加型ミニ市場公募債)の発行見込み額は、当初の計画を大いに上回る約35自治体、1500億円。2003年度は約70自治体、2600億円の発行を見込み、当初計画枠の200億円を大幅に超えることになりそうだ。
今年3月6日、群馬県が全国初のミニ公募債「愛県債」を発行したところ、わずか18分で10億円分を完売した。同県は6月、第2回の「愛県債」を抽選で募集、予定の3倍以上の応募があった。
それ以降、兵庫県、札幌市、群馬・太田市など他の自治体もミニ公募債を発行。9月に東京都が募集した「東京再生都債」は「ミニ」公募債としては異例の額、200億円を80分で完売した。
ミニ公募債ブームこのところ、ますます全国へ広がりを見せている。
12月3日、青森県が「青い森の県民債」の購入を受け付け開始。その日の午前中には発行総額20億円に達し、即日完売した。「青い森の県民債」の売り上げは東北新幹線建設費負担金に充てられる。
12月5日には、茨城県が「大好きいばらき県民債」の募集を開始。総額20億円分を43分で完売。資金は「いばらきブロードバンドネットワーク(仮称)」整備事業や広域公園整備事業などに充てられる。
同じく12月5日から、神奈川県は「かながわ県民債」を販売。13日には総額200億円分の募集を終了。「活力ある神奈川、心豊かなふるさと」を築くために実施しているまちづくりに活用する。
12月16日から神奈川・横須賀市が募集した「はまゆう債」は、20日の締切日までに19億円の募集が集まり、発行額の10億円を超えた。来年1月15日に抽選で購入者を決める。調達資金は市立横須賀総合高校の建設費に活用する。
――今後もますます加速しそうで、最近の意思表明としては、以下の自治体がある。
12月12日、松尾徹人・高知市長は市議会定例会で「市竜馬債」3億数千万円分を発行すると述べた。「竜馬の生きたまち記念館」の建設費用に充てられる。
同日、藤田有山・広島県知事は県議会でミニ公募債発行に前向きな考えを示し、他の自治体の動向を見極めて判断すると述べた。
東京都の文京、品川、杉並、足立の4区も同日、来年2月に発行する「文の京区民債」「はばたけ!しながわ未来債」「育て!杉苗際」「走れ!あだち債」の概要を発表。調達資金は、障害者住宅などの取得(文京区)、公園整備(品川区)、駅前駐輪場整備(杉並区)、文化センター建設(足立区)などに充てられる。(田中潤) |
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