宮崎県宮崎市役所では12月9日、市民課窓口に監視カメラを設置、稼動を始めた。他人の戸籍を勝手に改ざんするために、本人に成り済ますのを防止するのが目的。プライバシーの侵害に備えて同日、警察への映像の提供、閲覧などの乱用を防ぐ要綱も施行した。
行政によるカメラ設置の動きが目立ってきているが、市役所の市民課窓口に監視カメラを設置するのは全国で初めてとのこと。
今年2月には、警視庁が犯罪防止のために新宿歌舞伎町に50台の24時間監視カメラを設置。8月には、財務省が今年5月から関西国際空港、成田空港に監視カメラを設置していたことが明らかになった。なお財務省関税局は、空港の監視カメラについて、設置台数など機器の具体的な内容に関しては監視取締上支障が生じることから公表できないとしている。
また、高速道路や主要国道の頭上、料金所の脇など全国約700ヵ所にも、警視庁は監視カメラを設置している。公式には「盗難車両、手配車両の捜査」という名目だが、95年のオウム事件以降、公安活動のため積極的に利用されていることが、市民団体の調べで明らかになっている。
さらに、事件や事故が発生した際に警察に緊急通報するため、防犯カメラを備えた「スーパー防犯灯」の設置も進められている。
このような生活空間へのカメラ設置はプライバシー侵害の恐れも考えられる。だが、自治会や商店街が自主的にカメラを設置していることからも分かるように、住民側にはプライバシー侵害の意識はほとんどない。プライバシーを多少犠牲にしてでも、犯罪を防止するというセキュリティ意識の方が高まっている。
ちなみに、イギリスでは、政府によってもうすでに100万台の監視カメラが設置されている。ますますセキュリティ重視の方向に社会は向かっているようだ。(田中潤) |
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