「大きな市が躍起になって周辺を帝国主義的に蚕食している」
今月5日、鳥取県議会において、片山義博知事が鳥取市を中心に進めている県東部の大規模な広域合併を批判した。自治省出身だけに興味深い。
片山知事はこれまでも、国が特例債などをエサに自治体の規模を大きくしようと躍起になっていることに対して、「邪道とは言わないまでも好ましくない」「市町村というのは身近な自治体なのだから、あまり縁遠くしない方がいい」などの考え方を述べている。
全国各地で市町村合併に向けての動きが加速化されているなかで、「小さな自治体」でやっていこうという動きも、最近目立ってきた。こうした動きをいくつか紹介する。
★11月30日、高知県春野町で住民説明会。高橋義幸・助役は合併しなかった場合の施策を提示し、何が何でも合併しなければならないという状況でもないことを説明。
★12月1日、松田秀雄・富山県舟橋村長は「村政を語る会」において、「伝統ある舟橋村をなくしたくない。住民の多数意見を尊重したい」と述べ、村の行政サービスが他の自治体と比べて劣ってはいないことを強調した。
★12月1日、岡山県奈義町住民投票。「合併しない」が7割以上を占め、単独で生き残る道を選択した。
★12月1日、宮崎県高岡町で住民投票。法定合併協議会設置は過半数の「反対」で見送られた。
★12月2日、高知県中村市で住民アンケート。合併肯定が64%を占めたものの、回答率は13%と市民の関心の低さが明らかになった。
★12月2日、群馬県富士見村議会が「議会だより」号外を発行。各議員の合併に関する考えを列記した。「合併賛成」6人、「合併反対」16人がそれぞれ理由を挙げて自分の態度を明らかにした。
★12月2日、橋本光記・山形県白鷹町長は町議会全員協議会で、市町村合併について「特例法の期限である2005年3月までは行わない」とする基本方針を示し、町民の意見や合併により財政が向上しないことなどをその理由に挙げた。
★12月3日、三重県鵜殿村で住民アンケート。合併反対が過半数を占めた。
★12月4日、熊本県嘉島町で住民アンケート。「合併せず単独」が48%を占めた。
★12月4日、埼玉県和光市が独自の広報資料を公表。合併でメリットとされている部分が実際には効果が少ないことを示した。
★12月4日、星勝夫・福島県桧枝岐村長は「南会津合併検討研究会」の会議で、「地理的条件や産業構造などさまざまな面から考えても合併は難しい」とし、法定合併協議会への不参加を表明。
★12月4日、山崎恒夫・高知県芸西村長は任意合併協議会で、村民の意向を尊重し、合併協議を進めていた安芸グループからの離脱を表明した。
★12月6日、熊本県津奈木町で住民説明会。西川裕・町長は「水俣市との合併は水俣市の借金を払うことになる」「合併は究極のリストラ」などと発言し、合併に否定的な考えを示した。
★12月6日、岩川徹・秋田県鷹巣町長は市町村合併座談会で、「他の町には合併のメリットはあるが、鷹巣にはない」と単独自治の存続が可能だと発言した。(田中潤) |
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