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議会の基本事項を明記−杉並区自治基本条例

2002/12/05

 東京・杉並区議会は11月29日の本会議で、区長提案の自治基本条例案を一部修正の上、可決した。施行は、統一選後の来年5月1日。なお、杉並区長の在任期間を3期までとする条例案は、継続審議となった。

 自治基本条例制定の動きは、北海道・ニセコ町を初めとして、全国各地に広がりつつある。9月には東京・清瀬市の「まちづくり基本条例」、西東京市の「市民参加条例」、10月には北海道の「行政基本条例」が制定された。

 また、埼玉・草加市は「パートナーシップまちづくり条例案」をまとめ、12月議会に提案する予定である。京都市も8月には「市民参加推進条例」の骨子案が発表し、年度内の制定を目指している。鹿児島市も10月に「市民参画条例案」についてのパブリックコメントを求め、3月議会に提案を目指している。このほか、岐阜・多治見市、奈良・生駒市、香川・丸亀市、同善通寺市でも制定の動きがある。

 こうした中で杉並区の条例が注目されるのは、多くの条例が行政や住民だけを対象としているのに対し、議会についての規定を設けたことである。議会とは意思決定機関であるとともに執行機関を監視し牽制する機能を持つことが条例で明文化された。

 議会での修正で、区議会議員の責務が盛り込まれたというのも珍しい。また、この条例は区の最高規範であって、区は他の条例・規則の制定・改廃にあたっては、この基本条例の趣旨を尊重し、整合性を図らねばならないと、明記している。この部分は、議会に提出された案では「最高規範」という文言は書き込まれておらず、また、「区は・・・・整合性を図るよう努めなければならない」という努力規定であった。いずれも議会での修正で明確になったものである。

 このほか、区民の定義として、「区内に住み、働き、学ぶ人」と従来の範囲を広げ、また、事業者も区民「等」という言葉で表して、その権利と責務を一般的に書き込んだことも注目される。もちろん、選挙権や納税などについては法律を援用し、範囲を限定している。

 また、当初の案では、来年4月からの施行を予定していたが、準備に都合や統一地方選挙なども考慮し、議会での修正で、選挙後の5月1日から施行となった。

 なお、条例は杉並区のHPに原案及び制定後のものが掲載されている。(並河信乃)