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生まれ変わるか琴電

2002/12/05

 「電車は必要だが、会社は倒産してもいい」とまでいわれた「あの」琴電が、これまでの悪い(!)イメージから脱皮し、地域密着型の経営に取り組んでいる。

 11月28日付『四国新聞』によると、香川県高松市の琴平電気鉄道と中央商店街振興組合連合会が12月から「共通乗り物券」を発行する。同商店街で3000円以上の買い物をすると100円分の乗車券を提供。琴電、コトデンバスの乗車の際に利用できる。乗車券は商店街が負担、来年5月まで12万枚の発行を見込んでいる。好評ならさらに継続も検討する。

 琴電は鉄道事業収入の10倍を超える約390億円もの負債総額を抱え、2001年12月には民事再生法の適用を申請。今年8月、新体制のもとで社長に就任した真鍋康彦氏が新経営ビジョン「ことでん100計画」を発表。「社員のマナーが悪い」「ダイヤ改定など沿線開発に無関心」など、同社に対する県民感情を一掃させるため、再建課題として地域と連携した集客サービスの強化や能力主義に基づいた社員の賃金体系を導入。予測では5年後に乗客が230万人減少するところを130万人減に留めて、黒字経営転換を目指す。

 ふれあいキャラクターとしてイルカの「ことちゃん」、路線別に車体カラーを分りやすく替えた「ことちゃん遍路号」。その他、JR四国との共同企画でJR路線の琴平―高松―志度と琴電全線を一日自由に乗降できる「コトデン・JRくるりーんきっぷ」(大人1700円)の発売など、観光振興と一体したサービスも行ってきた。

 今回の「共通乗り物券」もこれらサービスの一環。9月に四国運輸局が「高松琴平電気鉄道を核とした公共交通活性化検討委員会」を開催。そこで実施が決まったアンケート調査の結果を受けて、琴電と同商店街が発行を決めた。歳末商戦を控えて、利用者の増加を見込んでいる。(田中潤)