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特産品やエコマネー券付き愛町債に総務省が「待った」

2002/12/05

 北海道網走管内留辺蕊(るべしべ)町が進めているミニ公募債「愛町債(仮称)」の発行計画が難航している。

 町では本年8月、知的障害者施設「るべしべ光星苑」建設費の補助等に充てる目的で、直接住民に債券を発行して事業資金を調達する方針を決定した。発行額は5000万円。期間は10年。額面は10万円、100万円、500万円の3種類。

 金利は全国初のゼロ。その代わりに、購入者は、年1回開催される健常者と障害者との交流会「ノーマライゼーション・パーティ(仮称)」に参加できる。さらに、100万円以上の購入者には、タマネギ・ジャガイモなど3000円分相当の特産品「ふるさと小包」、除雪・草刈りなどのサービスに5時間分相当のエコマネー券を提供する。

 「福祉の町」として知られている同町は以前から、健常者と障害者が連携するノーマライゼーション運動を推進しており、今回の「愛町債」もその一環として検討されたもの。11月21日現在で、自然発生的に5000万円の申し込みがきており、町外からの問い合わせも含めて、予想以上の反響が集まっている。利回りよりも地元への貢献が重視された。

 だが、総務省は「愛町債」の起債承認には慎重。ミニ公募債として適格な事業であるのか、ゼロ金利によって地方債市場が混乱する恐れがないのかなどを、理由として挙げている。

 このような中央官庁の「理屈」が、善意で「愛町債」購入を予約している町民の熱い期待に「待った」がかかっている。(田中潤)