1997年10月1日

 

        様

 

                                                                                                                          社団法人行革国民会議

                                                                                                                民営化研究会

                          

 

行政改革会議中間報告の郵攻事業改革について

 

 本研究会では、さる8月5日、別紙のような郵政事業改革案を提言しました。9月3日に公表された行革会議の中間報告は、

  1郵政事業を中央省庁から分離・独立させようとしたこと

  2簡保の民営化、郵貯の民営化準備を明記したこと

  3財投への預託を全面廃止したこと

などの点で、本研究会の提言と方向性を同じくするものであり、基本的に評価するものであります。

 今後、さらに良い最終案としてまとめるにあたり、いくつかの提案を行いたいと思いますので、ご参酌いただければまことに幸甚に存じます。

 私たちは、郵政事業の民営化は、利用者および郵政事業従事者双方にとって、明るい将来を切り拓く唯一の道であると考えております。いまここで改革の手を緩めれば、明治以来築き上げてきた郵政ネットワークを崩壌させることになりかねません。この点に是非ともご留意いただくよう、重ねて申し上げます。

 


行政改革会議中間報告の郵政事業改革について

 

                         1997年10月1日

                        (社)行革国民会議

                          

T 中間報告についての基本見解

 9月3日に公表された行革会議の中間報告の郵政事業改革案については、

 

1 郵政事業を中央省庁から分離・独立させようとしたこと

2 簡保の民営化、郵貯の民営化準備を明記したこと

 (事実上の3事業分離となる)

3 財投への預託を全面廃止したこと

 

などの点で本研究会の提言と方向性を同じくするものであり、本研究会としてはこれを基本的に支持するものである。

 

U 中間報告の問題点

 しかし、以下の点については問題が残るので、最終報告をまとめあげる段階では、是非、修正すべきである。

 

1 郵便事業を国営としたこと

 郵貯、簡保が民営化されても、郵便事業が国営ということになれば、郵便ネットワークの維持・発展が望めない。

 国営であるために、国家予算上の制約や国家公務員としての人事上の制約など様々な規制が維持・存続することになり、このことが、郵便事業およびそれを構成する各郵便局の自由な事業展開を大きく阻害することになる。したがって、郵貯、簡保とともに、郵便事業についても民営化を行い、各郵便局の創意工夫により、ネットワークの維持・発展を図るべきである。

 さらにまた、郵便事業が将来的にも国営事業に留まったままで民営の郵貯や簡保の事務委託を受けるという構図は、国の役割という視点からも到底理解ができない。

 本研究会の提言で述べたように、郵便事業を民営化しても、そこに郵便局などの局舎を所有させることで過疎地の局舎も維持可能であり、また、個々の局の選択により郵貯、簡保の兼営もできるので、3事業一体経営のメリットも失われない。

 

2 簡保の民営化の時期と、郵貯の民営化の時期が明確でないこと

 省庁の再編が2001年に実現するのであるから、郵政事業の改革もこの時期までに実現させるべきである。さらに、金融ビッグバン、国の財政再建もそれぞれ2001年、2003年と時期が決められている。郵政事業改革だけ時期を不明確とすることは許されない。

 

3 郵貯、簡保の監督官庁が明確ではないこと

 郵貯、簡保については、他の金融機関とおなじように、金融監督庁の規制下に入ることを明示すべきである。

 

4 郵政事業庁の主管省である総務省との関係が明確でないこと

 郵政事業庁の人事等について、総務省がどのような権限を持つのかが不明確である。独立性を保証するというのであれば、むしろ郵攻事業も民営化し、郵政事業庁のような政府外局という中途半端な経営形態はとるべきではない。

 

5 郵貯、簡保の地域分割について検討されていないこと

 郵貯、簡保は民営化とともに、民間の金融機関と対等な競争が実現できるような規模にすべきである。

 

V 郵政事業改革委員会の設置を

 行政改革会議の最終報告までに郵政事業改革の細部まで確定することは難しいと思われる。最終報告では3事業の分割・民営化を明示し、地域分割の方法、郵便の独占のあり方などは、「郵政事業改革委員会(仮称)」を別途設置し、2年を目途に成案を作成すべきである。

W 中間報告からの後退は許されない

 中間報告後、何人かの行政改革会議の委員が、中間報告自体を修正する意見書などを提出している。自ら合意した中間報告に対して委員が修正意見を出すというのは、極めて異常な事態であり、これでは改革の推進力は生まれてこない。行政改革会議およびその委員は、中間報告に盛り込んだ改革の方向性を守り、最終報告に向けて、さらにそれを磨き上げていくべきである。自らまとめ上げた中間報告を自ら後退させることは、断じて許されることではない。

以上