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教員評価制度 給与に反映させる自治体も

2004/10/15

 10月14日付の中国新聞によると、山口県は教員評価制度についての骨子素案をまとめたとのこと。教員自身が年度当初に個人目標を設定し、その達成度を3段階(A、B、C)で自己評価させる「目標管理」と、第3者(校長や教頭ら複数の評価者)が勤務態度や成果などを5段階(S、A、B、C、D)で評価する「業績評価」の併用を提案。業績評価では、学習指導や生徒指導、進路指導などの職務ごとに、意欲や能力、実績など複数の視点からチェックする。公正さを確保するため、評価者を複数にし、評価基準を学ぶ研修会を開く方針。評価結果は、次年度の目標設定や人事異動、表彰などに反映させるとしている。

 以下、教員評価に関する自治体の取り組みを紹介する。

 大阪府は2004年度から、「教職員の評価・育成システム」を本格実施。府立高校や公立小中学校などの教職員が生徒指導などの目標を自主的に立て、自己申告評価や面談などを基に、校長が優秀順に、S、A、B、C、Dの5段階で業績を評価する。評価に関する記載内容は本人にすべて開示し、異議に対応する審査機関の設置も検討する。一方、教職員も校長の学校運営に関して意見や提言を書面で提出する。
 また、大阪府は10月、2006年度から公立校の教職員の勤務評価を給与に反映させることを決めた。東京都に次いで2番目の取り組みとなる。

 秋田県は2004年度、指導力不足教員への対応のために、医師や識者らで組織する判定委員会を設置。判定は公立の小中学校と県立学校教員が対象。生徒や保護者の声などを考慮して教頭と校長が必要と判断すれば県教委(小中学校は市町村教委を経由)に申請、県教委は判定委員会の意見を参考にしながら判定する。指導力不足と判定された教員は研修を受け、改善が認められれば職務復帰する。改善できない場合は事務職への職種変更や分限免職もある。判定に納得できない場合、30日以内に県教委に不服申し立てできる救済措置も設けた。一方で、これまでの勤務評定に代わる新たな評価システムも始めた。評価される教員が自ら目標を設定し、達成度を自己評価した上で、教頭と校長の評価を受ける。評価結果は本人に開示する。新評価システムは2004年度にモデル校を指定し、2006年度から正式に導入する。

 神奈川県は2004年度、県内の県立校18校で生徒による授業評価を試験的に実施。2005年度からは、全県立高で本格的に導入する予定。授業内容や指導方法、さらには生徒自身の取り組みも評価の対象となる。各学期末にアンケート方式で実施する。具体的な評価内容や実施科目については、各学校で決める。集計した評価は、夏休みや春休み期間などに各高校で分析し、教諭同士で授業の改善方法について意見を交換しながら、校内研修や研究授業の基礎資料にする。

 香川県は2004年度から、県内すべての県立高校で生徒が授業を採点する授業評価や保護者を対象とした公開授業を実施。授業評価の内容は進度や板書、質問の仕方などを生徒が評価する「授業評価」、生徒が自分自身の学習への取り組みを評価する「自己評価」などを予定。設問の内容や結果の検証、公表方法は各校が定める。公開授業は年1回以上の実施が原則。授業後に実施するアンケート(評価)の項目、公表方法も各校の判断による。

 京都府は4月から、一部の学校で教職員を「ABC」の3段階で評価する新しい制度を試行。2006年度から本格的に実施する方針。評価対象は、校長ら管理職を含むすべての教職員。「能力」「実績」「意欲」の3項目について、知識・技術や積極性など計16の着眼点から教職員を評価する。Cを基準に加点する方法で、Bが「高い」、Aが「極めて高い」とする。Aより高い場合と、Cより低い場合は特記する。評価の担当者は2人とし、客観性と公平性を保つ。

 千葉県は5月、全小中高校に「学校評価の指針」を配布した。@内部評価とA外部評価の2本立て。@では(1)組織目標に対し教職員が個人目標(具体的な行動目標)を立てる(2)プロセス管理を大切にし、正しい評価で次の目標改善につなげる(3)学校教育目標などは教職員全体で評価、個人目標は個々で評価する(4)年間を見通した評価計画を立て、年度途中で進行状況の評価とプロセスの修正を実施する。Aでは(1)児童生徒や保護者、自治会関係者らによる学校評議員を導入して実施(2)教育活動や学校運営に対する願いや満足度を把握(3)「学校評価委員会」などの組織化(4)結果を公表し、連携して学校改善につなげる。

 群馬県は4〜9月までの6ヵ月間で、県立高校で高校長による校内巡視を義務付けた。非常勤講師を含む校内すべての教員の授業を見る。「チャイムと同時に授業を始めているか」「話し方や言葉遣いは適切か」など30項目からなるチェック表に記入。これを教員に渡し、授業の課題や改善策などをアドバイス、検討する。また、10月末までに各教員の指導状況に関する報告書を県教委宛てに提出する。

 さいたま市は10月から、管理職(校長、教頭)対象の自己申告制人事評価制度を試行。評価を参考に市教委や校長による面談を実施し、課題解決に反映させる。

 宮崎県は2006年度から、教職員の新たな評価制度を導入する。教職員の職務遂行能力をみる@職務行動評価と、ここに設定した目標に対する達成度をみるA業績評価によって評価し、結果は異動や給与に反映させる。校長など管理職の評価については教職員や保護者らの意見も参考にする。@は2004年度から管理職と管理職任用希望者について試行し、2005年度から全教職員に広げる。Aは2006年度から行う。指導技術が優れていると評価した教員の中から、本人の希望によって「スーパーティーチャー」に任用する。教頭と同等の待遇をする「スーパーティーチャー1」、校長と同等の「スーパーティーチャー2」の2ランクとする。

 埼玉県は2006年度から、公立小中高校教員などの勤務実績を評価して、人事面や給与面に反映させる新しい教職員評価システムを導入する方針。県は2002年度から、校長、教頭の管理職を対象に自己申告制度を実施。管理職は学校経営の目標などを踏まえ、自分の職務上の目標を設定し、年に2回、成果をまとめ、県教育長が評価するというもの。2004年度からは、一般教員にも実施した。給与面や人事面での優遇措置を取り、教員が正当に報われる環境を整え、その評価を公表することで、教員の資質や能力の向上を目指す。(田中潤)