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ミニ公募債発行 さらに活発

2003/10/03

 総務省は9月26日、住民参加型ミニ市場公募債の発行予定(10月〜12月)を発表した。12月に「北東北みらい債」の共同発行を予定している青森、岩手、秋田3県を1団体として集計すると、28団体が797億4000万円のミニ公募債発行を予定しているとのこと。

 富山・氷見市は12月、北陸3県の市町村では初となる「ひみ市民債」(仮称)を1億円発行し、市民病院の機器購入費にあてる。同市は合併しない方針を打ち出し、行財政改革に努めており、自主財源の確保と行政への参加意識の高まりを狙っている。

 高知市は12月、四国の市町村では初となる「龍馬債」を3億円発行、総事業費6億円の「龍馬の生まれたまち記念館(仮称)」に充当する。

 宮崎市は12月、「アイビー債」を15億円発行する。市内と周辺6町に在住、勤務している個人、団体が発行対象。このように周辺自治体まで発行の対象を広げたのは全国初。総事業費173億円の運動公園整備事業費にあてる。2009年度の完成を目指す。2003年度の事業費は27億2000万円で、そのうち15億円を「アイビー債」で調達する。

 そのほか、総務省の発表後にミニ公募債の発行が明らかになった自治体を紹介する。

 新潟市は11月、「なじらね新潟市債」を10億円発行する。2004年3月に開館する市歴史博物館の2003年度建設事業費にあてる。県内では、新潟県、三条市に次いで3件目。

 群馬・明和町は2004年1月、「めいわ愛町債」(仮称)を2億円発行する。その後にも、1億円の発行を予定。総事業費26億円の新庁舎建設事業にあてる。県内では、群馬県、太田市に続き3件目。

 静岡・伊豆長岡町は2004年1月、「魅力(ゆめ)人づくり債」(仮称)を3億円発行する。臨時財政対策債として教育費にあてる。ソフト事業を対象としたミニ公募債は全国初。町村では鳥取・西伯町(発行額5000万円)に次いで全国で2件目。同町は韮山町、大仁町と合併準備協議会を設立しており、3町の町民を販売対象とする。

 茨城・ひたちなか市は2004年1月に、ミニ公募債3億円を発行する。「谷井田沢最終処分場」の改修工事費にあてる。工事は2003年度と2004年度の2ヵ年計画で、総事業費は13億6000万円。

 神奈川・相模原市は2004年2月、「みんな元気さがみはら債」を5億円発行する。環境・食品関係の一部の事務窓口、高齢者の交流室や談話室、健康福祉総合相談窓口などを設けた「南地区保健福祉センター建設事業」(総事業費20億円)にあてる。その後、さらに10億円の発行を予定しているとのこと。県内では横須賀市、厚木市に次いで3市目。

 松山市は2004年5月までに、ミニ公募債5億円を発行する。「坂の上の雲」まちづくりの関連事業に充てる。

 総務省は2003年度から3ヵ月ごとにミニ公募債の発行予定と発行実績を公表しており、4月〜6月の発行実績は共同発行した兵庫県と伊丹、宝塚、川西、三田、篠山の5市を1団体として集計すると、9団体で325億5000万円。7月〜9月にかけては、17団体で706億円発行している。6月に発行した香川県は2日間で、9月に発行した山形県では4日間、奈良県では30分で完売するなど、ミニ公募債の販売は好調。

 ただし、以前にも紹介した群馬県のミニ公募債「愛県債」は結局、売れ残ってしまい、発行総額30億円のうち1億2500万円分を群馬銀行が引き受けた。(田中潤)


関連資料
総務省:住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(10月〜12月分)
総務省:住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(7月〜9月分)
総務省:平成15年度 住民参加型ミニ市場公募地方債発行予定額

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