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川内市、使用済核燃料税条例を制定 九電も合意

2003/07/10

 鹿児島・川内(せんだい)市では7月7日の市議会で、「使用済核燃料税条例」を可決した。九州電力川内原子力発電所の使用済み核燃料に課税する新たな法定外普通税(自治体が条例を定めて独自に課す税)で、2004年度からの実施を予定している。
 川内原発敷地内に保管している使用済み核燃料の集合体に対して、外部の再処理施設や中間貯蔵施設に搬出するまで毎年課税。税収分は原発立地や使用済み核燃料増加に伴う防災対策や地域振興策に活用する。
 税率は燃料集合体1体当たり23万円。4月1日現在、1224体の集合体を保管中で、そのうち原子炉から取り外して冷却中の314体には課税しない。初年度は910体で2億1000万円、集合体は年々増加して税収増となるので、5年間の課税期間で税収総額は12億6000万円を見込んでいる。課税を続けるのか、税率をどうするのかについては、5年ごとに検討する。
 九電も当初は県の核燃料税との「二重課税」などで難色を示していたが、同市の「原発と共生するため」という税の趣旨を考慮し、課税を受け入れることに同意した。
 7月8日、総務相は「法律の規定に抵触しない限り認めたい」と同意する意向を示した。新税が実現すれば、全国初となる見通し。

 なお、新潟・柏崎市も3月20日、全国初となる「使用済核燃料税条例」を制定している。同市は10月に課税を実施する方針だが、納税義務が生じる東京電力と、いまだに合意には至っていない。新税は、柏崎刈羽原発で一時保管する使用済みの核燃料に対して、原子炉で燃料を燃やす前の重量に課税。5年間で26億円の税収を見込んでいる。県はすでに法定外普通税として核燃料税を徴収しており、核燃料が使用段階と使用後に2回課税される「二重課税」だとして、東電側は問題している。(田中潤)